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2009年5月

井上荒野を6冊読む

『切羽へ』で直木賞を獲った井上荒野が気になって何冊か読みました。
読む本のネタがなくなると直木賞作家をかたっぱしから読む癖がついています。

半年前に読んだ作品

『しかたのない水』(2008年・新潮文庫)
スポーツクラブ(中でもプール)に通う老若男女の連続短編小説。
これは面白かったです。
最初は文章が上手いだけで退屈なお話かと思ってたんだけど、
人と人とがこんなにも近くですれ違ったり行き違ったり、
という変なドキドキや、色んな年代の心理描写がよかったです。
特に最後の2つのお話は異空間にボンと放り出されたような気持ちになります。
最初はあんなにも退屈で日常だったのに、ドキドキと非日常になるんです。

『潤一』(2006年・新潮文庫)
これは、私は苦手だったー。
島清恋愛文学賞を獲った作品だったから期待してたんだけどね。
江国香織も『がらくた』で受賞してました。
潤一がいろんな女性の所に現れて一悶着あるんだけど、
女性の視点から潤一について語られる短編の寄せ集めです。
どうも潤一に人間味が感じられなくて、まるでアニムスみたい。
もしかしたらアニムス、っていうのが主題だったのかもね。
でも、井上荒野の小説には必ずこういうタイプの、というのは、
あんまり意思がなくその日暮らしなのに、女にはついて行く、
っていう男性が出てくる気がします。

3ヶ月前に読んだ作品

『ナナイロノコイ』(2006年・ハルキ文庫)
女性作家のアンソロジー文庫本にも井上荒野がいました。
『帰れない猫』という短編小説です。
うーん、またこのモチーフかぁ、といった感じです。
浮気とか夫婦間のずれとか習慣とか。
確かに文章は上手いんだけど、読んでて印象に残らない、というか
暗いというか、楽しくない、というのが正直な感想かな。
江国香織の作品が読みたくて買った本だから別にいいんだけど。

1ヶ月前に読んだ作品。

『夜を着る』(2008年・文藝春秋)
図書館にたまたまあったから借りた作品。
あとがきを読んで初めて「旅にまつわる短編集」だと気づきました。
そうか、そういえばみんな大なり小なり遠くへ行ってますね。
だからといってワクワクするわけでもなく、うーん。
文章は上手いんだけど、ってそればっかり言ってますね。あは。
荒野という名前の人にワクワクを求める私がいけないんですよね。

『学園のパーシモン』(2007年・文藝春秋)
これも図書館にたまたまあったから借りた作品。
きたきた、これはおもしろいぞ。
途中まで最高におもしろいです。
幼稚園から大学まで同じ敷地内で一貫して教育する「学園」があり、
そこの学生はみんな学園長を慕っている、という不思議な舞台設定があります。
そして、その「学園」には赤い手紙が来たらすごいことが起こる、
という言い伝えがあるんです。都市伝説ってやつですね。
学園長が病気のため刻々と死に向かう中、
赤い手紙が来た女生徒、訳ありの男子転校生、生徒と関係を持つ美術教師、
天才的に絵が上手いのにいじめにあっている女生徒、の4人が交互に話を進めます。
「途中まで」最高におもしろい、というのは、
ミステリー感覚で読んでしまうと失敗する、ということです。
詳しい内容はここでは語りませんが、きっとテーマは「噂」です。
それを頭の隅においてもらえれば、きっと最後まで最高におもしろく読めると思います。

今日読み終わった作品。

『不恰好な朝の馬』(2006年・講談社)
これもラッキーなことに図書館にあったから借りました。
この話の設定は『学園のパーシモン』につながる所があります。
かぶっている、といってもいいのかな。
最近は同じモチーフを違う作品で繰り返し使う、っていうのが主流になってきてますね。
村上春樹もそうだし吉本ばななもそうだし。
それが作者の個性になっているのかな?
それが心地いい人もいるだろうし、別のモチーフをもっと出して欲しい
という人もいるでしょう。
私としては同じモチーフを出してくるとニヤリとしてしまうけど、
やっぱり新しいモチーフも出して欲しいな。
この話の場合、団地が舞台なんだけど、奇妙なポスターが張られる所が
次作とかぶってますね。教師との恋愛とか高校生の描き方とか、
やっぱりどっかかぶってる。不穏な空気は荒野の作品全体にかぶってるけどね。

はぁ、やっと井上荒野を大体読み終わったので、
(本当は『切羽へ』『ベーコン』『誰よりも美しい妻』が読みたい)
明日からは東野圭吾を読みます。
奇跡的に図書館にありました。
有名な作品は手に入りにくいけど初期の作品は借りやすいのです。
そして早く村上春樹の新作『1Q84』と小川洋子の新作『猫を抱いて象と泳ぐ』
を読みたいです。多分2年後くらいになるのかな(笑)
社会人になってもハードカバーには手が出ないです。文庫ならすぐに買うけど。
そういえば、江国香織の『左岸』をまだ読んでいないことに気づきました。
血の気がひきそうです。そろそろ読まなきゃ倒れちゃう。
SPURで連載している『抱擁、あるいはライスに塩を』も断片だけ読みましたが、
すっっっごくおもしろかったです。
同じ主人公でも時代によって留学していて住んでいる国が違ったり、
恋人が違ったり家族がいたり友達が違ったり窓から見える景色が違ったり、
そんなお話を書いていました。早く読みたーい。

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映画『重力ピエロ』

前売り券を買ってまで、しかも映画の封切日に見に行ってきました。
伊坂幸太郎原作の『重力ピエロ』。
2009年このミステリーがすごい!の1位だったかな?
原作を読みもしないでなんとなくおもしろそうな予感がしたんです。
そしたら、やっぱりおもしろかった。
原作も買って読みたくなりました。
ミステリーだし家族愛だし、ゲラゲラ笑うものでもなくシリアスだけど、
深くおもしろかったです。
あっ、でも、吉高由里子の役はちょっと笑えたかも。
なんといっても岡田将生君がかっこよすぎる。
偉大な人物の名言をサラリと言いのける所とか、
女に興味ない?ような所とか、その理由とか、いちいちかっこいい。
でもでも、話の内容はミステリーメイン、というより
人物の心情変化がメインです。
ミステリーこそ心情変化が一番表しやすいカテゴリーでしょ!!
と、いわれちゃうかもしれませんが、
自分があんまり謎解きに興味を持たないでいい位に
ゆるく話が進んでいきます。

はぁ、2回連続で岡田将生君を映画館で見ちゃったよ~。
(前回はホノカアボーイです。)
それにしても、来年公開予定の村上春樹原作『ノルウェイの森』は
松山ケンイチが主役で、菊池凛子とか出ちゃうわけで、
早く観たいのです。監督は微妙な心情表現が得意そうだし。
エキストラの募集をしてるみたいだけど、かなり出たーい。

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漫画家のいえ

Kekkonshiki_2

先日のちいちいとそのちゃんの結婚式はとても楽しかったです。
席札と席次表はあくまでも頼まれたから作ったものであって、
他に何かサプライズなものをプレゼントしたい、と思っていました。
そこで思いついたのが色紙です。
似顔絵を丸2日かかって描いたのですが、
ちょっと思うことがたくさんあって楽しかったので載せておきます。
文房具好きのための内容になってます。


Zenitai_2

似顔絵を描く当日、家にそのちゃんが来たので、
それとなく好きな漫画をリサーチすると
『ハチミツとクローバー』『パラダイスキス』等でした。
パラキスの絵で二人の似顔絵を描くのはかなり難しいので、
今回はハチクロ風に仕上げることにしました。
テーブルには小学校の頃からコツコツ集めている画材、というか
なぜか捨てないで取っておいた画材たちがごっちゃり。
あとは、ハチクロとか、結婚情報誌とか見本を広げておきます。
手の届く範囲で並べてあります。もちろん床にも。
ここに猫がいたらさぞかし歩くのが大変だろうし、
何事だろう?といつもと空気が違うのに気づいてニャーニャーなくことでしょう。
それを一人想像しながら描いてました。
お茶を飲みつつね。


Shitae_2

小学校の頃は漫画家になろうと思ってた時期もあったので、
その時に自分ができるありったけの情報を持ち寄って、
漫画の描き方を覚えていました。
今回はそれらを懐かしいなぁ、と思い出しながら、 本格的な、一番時間がかかる方法で描いていきました。

下書きはマルマンのクロッキーブックにしました。
下書きの絵ができたらその紙の裏面を5Bなどの芯が柔らかい鉛筆で塗ります。
下書きした紙を色紙に重ね、絵を上からなぞって色紙に転写します。
下書きでは似てたのに色紙では似てない、など、悩みがいっぱいです。
絵の付け足し、修正を色紙に直接鉛筆で書いていきます。
消しゴムを使う場合はティッシュできれいに払います。
下書き完成です。


Penire_2

緊張のペン入れに入ります。
使うペンはPIGMAの0.1と0.3です。
0.1は髪の毛やまつげ、服のしわを、0.3は輪郭など使い分けます。
PIGMAはとてもすばらしいペンで、耐水性、耐光性です。色褪せません。
ペンの使い分けも描きながら思い出しました。
消しゴムをかけてペン入れ完成です。
似てなかったらどうしよう、などと、この辺でもドキドキします。

ここまでが徹夜の作業1日目でした。気がついたら朝でした。
描いてて、自分がこれほどまで真剣に集中する作業は他にないな、
と、思い出しました。
勉強でも仕事でもこれほどまではありません。
小学校の頃に漫画家をあきらめたのは、
「OLの漫画を描くにはOLになってみないと描けない。」
と思ったからで、学校卒業と同時に漫画家はないな、
と見切りをつけたからです。
小学生ながら安易な考えでした。実際は取材とかいろいろあるのに。


Ironuri_2

2日目は色塗りです。主にヌーベルカレーパステルと色鉛筆を使いました。
他の紙に色を試しながら色紙に塗っていきます。
薄い色はまだいいとして、濃い色を塗るときは緊張します。
わざわざカレーパステルをカッターで削って別の紙に乗せておき、
それをティッシュで取って色を塗っていきます。
パステルブラシではたいて馴染ませたりもします。
若干、消しゴムが効くので、はみ出した部分を消したり、
髪にホワイトを入れたりします。
色鉛筆はSTAEDTLERのergosoftと日本の伝統色シリーズを使っています。
どちらもそんなにおススめではないです。
STAEDTLERは芯が硬いし、日本の~はノベルティーでいただいたものだし。


Kansei_2

最後にコピックで字を書き入れ(これも緊張!)
パステル定着スプレーをベランダで噴射して、乾かしたら完成です。
ハチクロっぽいつもりが、『恋愛カタログ』みたいになっちゃったかな。
ほっぺの線を多くしてチークを多めに入れたところが
私的にはハチクロっぽいと思っていますが、何か?
コピックは数本しかありませんが、たくさん欲しいです。

話がちょっと変わって、
先日、叔父さんと会食した時に万年筆の話で意気が合い、
なんと、おじさんのコレクションからモンブラン万年筆をくれました。
本当に郵送されてきてびっくりしました。
私は文房具好きが一人歩きしてる気がしてたけど、
ちいちいとそのちゃんの結婚式で絵を描いてみて、
本当に必要だから文房具を集めていたことに久しぶりに気がつきました。
モンブランはすごく高い文房具なので
私が自分で買った分も合わせて2本も持っていることはとても変なのですが、
コレクターではなくて人のために生かせる使い方をしたいな、と改めて思いました。
ちなみに、おじさんの万年筆はペン先がF(細字)で私が欲しかったものでした。
キャップがスクリュー式ではない所がレアモノです。歴史の産物だそうです。
ブラックのインクに続いてブルーブラックを買おうと思います。
ここは一つ、叔父さんのお父さんである私のおじいちゃんに手紙を書こう、
と考えている所です。

何はともあれ、結婚式当日に披露宴の時から立ち回り、
親戚を始めほぼ全員から色紙にメッセージをもらえたことが嬉しかったです。
そして、オタクとしてしか描くことができなかった幼少時代の自分の努力に感謝しつつ、
こんな絵でも趣味とか特技として生かせるようになった大人の自分が喜ばしいです。
ひさしぶりにがんばったー。

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ハックルのこと

200905
ミツル君の実家に住む猫のハックルが、16日午前2時に亡くなりました。
詳細はtettouのブログにも書いてあります。
私は同じ時間に偶然とは思えないような体験をしたので、
書き記しておこうかと思います。

15日の夜は週末ということもあり、いつもなら家でビールを飲む日でした。
でもその先週、shinchanがうちに泊まっていったことでウイスキーが買ってあり、
しかもその日の食材がイタリアンのものが多かったので
普段はあまり飲まないウイスキーを飲むことにしました。
有機野菜にヴァージンオリーブオイルをかけたサラダ、ピザマルゲリータ、
新しい料理に満足しながらも事態は刻々と変化していきました。
もともと胃が弱い体質なのですが、ウイスキーを1杯しか飲んでいないのに
どんどん体調が悪くなっていくのです。
水を飲んでもダメで、胃薬を飲んでしばらくたっても胃の中からチクチクする。
台所で立ちながらあまりの痛さに涙が出てきました。
こんなことは今まで初めてで、ちょっとだけ「死」という言葉が頭をよぎりました。
自分が目で見ることの出来ない内臓から死に追いやられていく感じ。
少し動けるようになったのでベッドに横になりましたが微熱がありました。
それが16日の午前2時でした。
しかし、3時ごろになると痛みはすっかりひいて、注意してはいるものの元気になりました。

ハックルの死を知ったのは16日の午後でした。
ゴールデンウイークに広島に行ったときは沢山遊んだのに、
外からねこじゃらしを取ってくるととても喜んで、
普段は体重が重くてスローな動きのハックルが、飛び上がって喜んでて、
私も一生懸命遊んだのに。
でも、たしかに、ゴールデンウイークに会ったときは
昔に比べて見違えるほど痩せていました。

Huckle
ミツル君の家の猫たちは、捨て猫を拾ってきて飼っています。
幸せな猫たちです。
一匹目はタマ。写真でしか見たことがないけれど、幽霊みたいなブサイク猫でした。
でもみんなに愛されていました。
二匹目はハックル。ハックルの名前は絵本『スキャリーおじさんシリーズ』からつけたそうです。
(上写真参照)たしかに似ている。ハックルもブサイク猫でした。
ハックルが小さいときは顔が小さく耳がでかくて狐みたいだったのに、
歳を取るにつれて耳が小さく見えるほど顔がでかくなりました。
オス猫なのでメスよりは顔がでかくなるそうですが、
近所で猫の番長をやるほどの顔のでかさだったそうです。
そしていまだに健在なのが三匹目の銀河です。
一番愛嬌のあるかわいい顔のメス猫で、「ぎんちゃん」と呼ばれています。
最近はハックルより太ったのでメタボの意味で「メタちゃん」とも呼ばれています。

200403
私が最初にハックルと銀河に会ったのは2004年3月(上写真)。
猫が好きなのにアレルギーなので、まず、飼えません。
ミツル君の実家で猫に会えるのが最高に嬉しいのです。
でも、顔が痒くなってきたり見えない程度のぶつぶつが出てくるので、
化粧品一式を持っていっても、結局化粧はできません。そのくらいひどいアレルギーです。
でも猫が好きだから遊んでしまいます。

200704
上の写真は2007年4月。
ハックルは朝から晩まで家の中を見回りするのが日課でした。
窓から外を見るハックルは日常の風景でした。

ハックルの死を電話で聞いたとき、東京にいるために実感がわきませんでした。
それなのに少しずつ涙が出てきて止まりませんでした。
東京で広島の話を聞いても、バーチャルにハックルが死んだしまったような感覚しかなくて
それでも、「午前2時ごろだった」とか「火葬にする」とか具体的な話を聞くと、
”あのハックル”がもうこの世にいないんだ、ということを段々飲み込めた気がします。
そして、同じ時間に私が胃を痛めて苦しんだことを思うと、
ハックルが伝えにきたのではないかと嬉しいような不思議な気持ちになって、
声を上げてずっと泣いていました。
ぎんちゃんは愛嬌があったので少しは人になついていたのですが、
ハックルは人に甘えない猫でしかもブサイクだったのに、妙に人をひきつける魅力があったので
私も含めてみんなハックルが大好きでした。
5年前、お義父さんに
「miffuuさんはぎんとハックルどっちが好きなの?」
と、聞かれたときも、私は迷わず、
「ハックルですね。(愛想ないけど。ブサイクだけど。)」
と言いました。
あんまりニヤニヤしないお義父さんも、その時ばかりは、一緒だ!という顔でニマニマして、
「お義父さんもハックルなんよ。」
と言っていました。
G.Wに私がハックルと遊びすぎたから疲れさせてしまったのかもしれない、とか、
なんだかんだと後悔しては泣いてしまいますが、
ハックルが人に愛されたことも確かだし、ハックルが人と人とを結びつけてくれたと思います。
私はおばあちゃんが癌で死んだとき、過密スケジュールの葬式で悲しむタイミングがつかめず
悲しみが中に浮いたままになってしまいました。
通夜の夜中に「送る手紙」を考えて書いて、葬式でおばあちゃんの遺体に読み上げ、
親戚一同の心をつかみ「いい孫だ」と感謝されましたが、私は悲しむことができないまま、
飛行機に乗って秋田から東京に帰ってきました。
でも、ハックルにいたってはそういう思いをしたくなかったので、
何度も思い出を思い出しては泣いて、悲しみを悲しいと受け止めて泣きました。

私もミツル君の家族もだんだん元気になってきています。
あとは一匹になってしまったぎんちゃんが心配です。
みんなが元気になったら、ハックルを忘れるためではなくて新しい家族として、
子猫を迎え入れられればいいな、と思います。
ぎんちゃんも含めてみんなが楽しく幸せでありますように。

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